月とランドマークタワーとイルミネーション

昨日は横浜美術館へ行きました。来月いっぱいをもって長期休館に入るので。

今までも2年くらい訪問のブランクを空けたことはよくありましたが、89年の開館以来興味ある展示があるごとに訪問しているところです。

現在の特別展はトライアローグ。愛知県美術館と富山県美術館との3館の所蔵品を集めた20世紀美術コレクションです。

もちろん横浜美術館所蔵のものも展示されているので、今まで企画展やコレクション展などで見たことのあるものも含まれていて、この場所は長くここにあるのだなぁと実感しました。

ピカソやミロ、ウォーホルなど有名画家の作品もたくさん。

シュルレアリスムの展示がそれなりに多かった気がするのですが、美大生時代には好んでいたものの今見ると受け取り方がずいぶん違うものだなぁと思いました。

自分にはそう見えるからそう作った。という作品には非常に興味を惹かれ、細部までじっくり見ましたが

奇を衒っているだけだなという作品には、これなら古民家の壁の模様の方がマシじゃねぇか?と思うようなものもありました。

マグリットの「王様の美術館」という作品は横浜美術館蔵なので何度目かなのですが、その度に受け取り方が違い、自分の感覚が変わったのだなぁと思い知ります。

イヴ・クラインの作品は子供の頃に訪れた箱根彫刻の森美術館で見た作品と同じシリーズのものでした。

私の記憶が確かならば、その時に見た作品は背景が金ではなく3体並べて展示されていました。

子供心にすげー青で目が痛い。と思い、おっちゃん微妙に腹が弛んでるね。と思いましたw

自分の青好きブームが去った今、その青さに感動することはありませんでしたが、今度は表面の質感が気になって仕方がありませんでした。

触れないのが残念だわーくらいに触りたかった。ベロアっぽいのか、ざらざらしてるだけなのか。

大好きなジャコメッティも小さいながらも展示されていて嬉しかったです。

前回の記事にも書きましたが、本当に今は平面作品よりも立体作品にばかり目が行きます。

しかし平面作品であっても、画面の中にしっかりと空間や質感が表現されていればそれはキャンバスに描かれた立体作品なんですよね。

単に私がそういう空間認識をする頭であるだけかもしれませんけれども。

図面を見て大体の立体構造を理解します。まぁ建築やってた人にはそれが普通ですよね。

と、美大受験の時に立体構成を作り、それをデッサンしなさい。って課題が出たなぁなんてことも思い出しましたわ。

ふふふん、といつも通りに感覚で面白い立体作れたーと第一課題を終えたところで、

うわ、これデッサン難しいじゃん。となり、自分で自分の首を絞める人でした。

今の美大はどういう課題が出てるんだろうなぁ。

年齢的に同級生たちの子供が受験したり、学生したりしているお年頃ですな。

私はあの頃と同じような感じですけどね‥‥早く大人になりたい。

ちょうど自分自身の在り方について考え、自分とは?という問を何度もしている今日この頃であり、展示を見に行ったことで考え方に刺激を与えることにもなりました。

特に形而上学を学び始めてからは本当に見方、考え方が変わりました。

ちょっと前に昔の経験を思い出すような案件があったこともあり、人の感覚って浅いなぁと思っていたところなので

自分はしっかり持つべき視点を失っていないことを確認できました。

それについてはまぁ嫌な気分にはなりましたけど、笑わせていただいたってことで終了。俺は次へ行くぜ。

コレクション展の方は横尾忠則さんのY字路シリーズに横浜美術館の建物をモチーフにした作品が展示されていて、見た甲斐がありました。

今は閉鎖されてしまった神奈川県立近代美術館本館にたくさん作品があったイサム・ノグチの作品も、最近のポップアートの人が真似してたりしますが、

全然真似できてないよねー。イサムはイサムだよねー。と思いました。

真似はあくまでも真似であって、真似するというモチーフを使った作品。まで引き上げないと価値などないですからね。

今回、私は横浜美術館への訪問に某割引を使用するため予約せずに参りましたが、基本事前予約が必要です。

ご興味ある方は公式ホームページよりご予約の上、ご訪問ください。

横浜市内の公共施設は月曜休みの原則から外れて木曜休館です。


展示を見終え、外に出るともう夕暮れを過ぎていました。まだまだ日が短い。

月とランドマークタワーとイルミネーション。

ロイヤルパークホテル部分の灯りがとても少なく、お客さん少ないんだなぁと思いました。

いつもなら大学は春休みに入って卒業旅行シーズンが始まって、賑やかになってくる頃ですが。

私はあまりイルミネーションとか、夜景とかを綺麗だと思わない感覚です。

なので、白内障に眩しい青白LEDの光よりもそれを巻けない枝先の繊細な伸び方の方が美しく感じます。

樹木の枝、動物の血管、粘菌の先端、宇宙のグレートウォールなど。

最適な場所を選んで伸びていくものは美しさを秘めているものなのです。

以前ランドスケープデザインをしていたときに耳にした話。

クライアントがクリスマスイルミネーションをするために落葉樹を希望している。

場所とか風景とかに合うものよりもそんな目的で植える樹を選ぶのか。と人間のエゴを感じた古い記憶です。

まぁバブル崩壊後でしたから、集客が第一だったんでしょうけれども。

それでは最適な場所に現れる美しさは出てこないなと思いました。

私が美しさを発揮できる最適な場所、最適な仕事は何なんでしょうね。

展示を見たことで、多少は探る手段がわかった気がします。

そういえば、横浜博YES’89のパビリオンの一つとして開館した横浜美術館。

その横浜博では横浜駅東口横浜そごうのテラスから会場までロープウェイが繋がれていました。

今、桜木町駅から新港地区を結ぶスカイキャビンを工事中です。

経路は違えどみなとみらいロープウェイ復活。時代は回帰するんですねぇ。

Philae Glass

Craftwork and Healing Studio

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